2017年6月18日日曜日

DINレールを使ったスライド機構 その2

 
DINレール買ってきました。
Aliexpressでこれを買っているのですが、到着まで待ちきれませんでした。


買ってきたのは秋葉ではなくここ、サトー電気です。先日Kama_AGEさんがいらっしゃったときに聞いていたお店です。横浜店はなんと会社から一駅の小机にあったのです。今まで全く知りませんでした。


行ってみると、DINレールはもちろんのこと、一通りのパーツがそろっているではないですか。すばらしい。間口はそれほど広くないのですが奥の方に閉架書庫というかなんというか、注文すると持ってきてもらえる棚が沢山見えています。
ということで、DINレールはもちろんですが、自宅からすぐに行けるあるいは会社帰りに気軽に寄れるところにパーツ屋さんがあるということが分かったうれしい出来事でした。問題はサトー電気が開いている時間には帰れないということですかね(笑

さて、買ったのは500mmのレールです。


これを使って早速長いスライダーを作ってみました。
ちょいちょいとfusion360で設計を行って、アクリルで作るパーツをdxfに落とします。


原点とCAMレイヤーを定義したら、NCVCでGコード化します。


アクリル板をセットして、


切断します。動画で。


もう一本


切れました。


外して、


保護紙剥いで出来上がり。


モータはこの薄い奴を使うことにします。DINレールスライダーはせっかく薄くできているので、その雰囲気を壊さないようにしたいという選択です。
このモータは大阪日本橋のDigitでかなり前に購入したもの。薄いので今回の用途にはぴったりです。


切り出したアクリル板に仮止めして具合を見ていきます。


タイミングプーリーはこんな感じですかね。


ベアリングはアクリル板に固定する際に板の表面から少しだけ浮かしてやる必要があります。そうしないと回転部分が板の表面にこすれて摩擦抵抗が出てしまいます。ワッシャでもいいのですが、今回は適切な大きさのものが無かったのでこれを切って使うことに。


プラスチックを切るといえばこれです。これ。GodHandのアルティメットカッター


今回も完璧な仕事をしてくれました。全く素晴らしい。


モータの対面につけるプーリー。こちらは歯はついていません。


キャリッジにベアリングを固定していきます。今回はV溝ベアリングを使ってみました。


DINレールを挟み込む二対のベアリングを固定する穴の片方はスロットになっています。二つのベアリングを指で押さえながらちょうどよい締め込みになるように意識しつつ固定を行います。エキセントリックナットを使うことも考えていますが、今のところ手締めでも全くぐらつきやガタつきはなく、十分に安定しています。


プーリーつけます。ここは最後にベルトにテンションをかけるために仮止めとしておきます。DINレールに空いているスロットを使ってプーリの位置を変更することができます。これもDINレールを使う利点の一つです。


モータを取り付けます。


2.5Tのタイミングベルトを適切な長さに切断します。


ベルトの端はこのようにドリルで穴を開けて、


M2の小ねじを貫通させて、


反対側からナット締めてループを作ります。これを両端に作ってそれぞれ反対側からキャリッジにひっかけます。


ベルトをDINレールのくぼみの部分にぎりぎり収めるためにはモータを少しオフセットする必要がありました。タイミングプーリーをひっくり返してみましたが、そうすると芋ネジが空回りしてしまいNGでした。5mmのナイロンスペーサーでモータを浮かせます。


ベルトを回してキャリッジにひっかけ、プーリーを動かしてベルトにテンションをかければメカ部分は完成です。


薄いモータを使ったことで非常にすっきりした駆動部になっています。3Dプリンタを作るときはトルクに余裕を持たせるためにもう一段大きなモータにする必要があると思いますが、スライダーとして遊ぶうちはこれでいいでしょう。


キャリッジと対面のプーリー。シンプルで非常に美しい仕上がりです。


こんなにシンプルでよい構成だと思いますが、なぜ誰も作ってないのか不思議です。
いずれ強度的な問題が出るのかもと思ってはいますが、こうやって1軸のスライダーを作っている限りでは全く問題を感じません。


V溝ベアリングもU溝ベアリングもどちらも問題なく使えるようです。
今回購入したV溝ベアリングは軸部分のガタが大きく、下の写真の上下方向にキャリッジを揺らすと若干の動きがありますが、挟み込み方向、上下をZ方向とすると、XY平面であればどんなに力を入れても全くガタはありません。素晴らしい安定性です。


ベルトはこんな感じにもうぎりぎりですがちゃんとレールのくぼみに収まっています。
これがスライダー全体を薄くできる決め手と言っていいでしょう。


さて、メカ部分は出来上がりましたので、駆動側を作っていきます。ここからは電子工作であります。
このモータからは線が8本も出ております。モータの側面のラベルには0.9DEG/STEPと記載されていますので2相駆動であることは間違いないと思われます。よって、以前投稿しましたタイプの4番、すなわち8本線の2相ユニポーラ結線と考えがちですが、このモータの場合は8本のうち4本が駆動、4本はセンサであることがわかっています。つまり2相バイポーラ結線であるということです。


引き出し線が短いので気をつけて配線しないといけません。
コネクタをアルティメットカッターで落として、


必要な線にコネクタを接続します。


Qiコネクタを使うことにします。


いきなりですが、モータ部分のコネクタ完成。黄色と青がA相、赤と白がB相です。


延長しないと使いにくいので、同じ色のリード線を引っ張り出してきて、


延長ケーブルを作ります。


Qiコネクタはピンを締めるダイがありません。秋葉で何軒か聞いたのですが無いようです。Qiコネクタを打っている店の人がそういうのですからどうしようもないですね。変則的ですが、XHやPH用のPA09で締めていきます。ちょっと注意が必要ですが、慣れる問題なく使えます。


出来ました。


駆動テストはGRBLを使ってみました。
ArduinoのGRBLシールドをaitendoで買っていたのですが、ずっと放置していたので今回これも併せてテストすることに。


Arduinoは珍しく純正品を使用(笑


GRBLの仕様や結線についてはネット上にたくさん情報がありますので、それをご参照ください。


Gコードを送るソフトウェアはGRBLコントローラを使います。
シンプルすぎて使いにくいのですが、テストの用途には十分です。stepレシオとかとりあえずどうでもいいのでとにかく動かしてみます。


では動いているところを動画で。


全く問題ありません。DINレールスライダーすばらしいです。
ぜひぜひこれをベースにして3Dプリンタを作りたいです。

せっかくなのでちょっと遊んでみます。
たった一軸だけですが、こんな風にスマホ固定スタンドをキャリッジの上に乗せて、


このスタンドにスマホをセットして動画を撮るとこんな映像を撮影することができます。


もう一本


ね、キャリッジ上でスタンドが微妙に揺れていますが、映像自体はなんかプロっぽいと思いません?
カメラをレールに乗せてスライドさせるテクニックはテレビドラマでもよく使われますし、専用のスライダーがKickstarterで資金集めをしたりしています。
これと同じものがこんなにも簡単に作れてしまうんですよ。

ということで、ちょっとした思いつきで作り始めたDINレールスライダーでしたが、思いのほかいい感じに仕上がりました。
これを全面に使って3Dプリンタの設計を行いたいと思います。

2017年6月11日日曜日

自作3Dプリンタ その12

 
DINレールをつかったスライド機構を思いついて以来、どう考えてもそっちでやった方がいいような気がしておりまして、ざくっとした設計を行ってみました。

まずこれがDINレールをつかった1軸のスライダー。


こちらはCetus 3Dに影響を受けてこれまで設計を続けてきた片持ち式の3Dプリンタ。


そのX軸とヘッドの取り付け部分。ヘッドのオーバーハングが非常に大きいです。アクリルのモータマウント、構造材のアルミフレーム、スライド機構のリニアガイドと3階建ての構造になっているためです。


で、これがDINレールスライダーを使って3Dプリンタを構想してみたもの。まだ主な部材を配置しただけで連結も何もしておりませんが、コンセプトだけは見ていただけるかと。


で、これがX軸のヘッド保持部分。この薄さ。
DINレールスライダーがそもそも薄いです。そのうえDINレール自体を構造材として使うことが出来ればこれ以外には何も加える必要がありません。非常にシンプルです。
おおよそものを作るときにシンプルな構造と複雑なものがある場合はたいていシンプルな方が正解です。強度的な問題は注意しておく必要がありますが、3Dプリンタくらいならこれで行けるかもしれません。


そうとなれば、構想の次はプロトタイピングですよね。ということで早速作ってみました。
といっても今手元にあるDINレールは長さが150mmしかありません。が、そんなことは本質ではないのであります。AliExpressにオーダーしていたU溝ベアリングも届いており、作りたくてうずうずしていたのであります。
早速プロトタイプの組み立て図面を起こします。

実に寸詰まりですが仕方ありません。


fusion360も随分と使い慣れてきました。アップデートの度にどこかしら怪しい挙動を示すという問題はありますが、そんなことは気にならない満足度です。
また、私自身のスキル、すなわち頭の中にある形をfusion上に再現するスピードも相当上がってきたと思っております。SketchUpで描いたときのスピードとほぼ同じ、複雑な形状や手直しの場合は確実にfusionの方が早くなったと思います。もう「どの順番で描くと速いか」といったことについて悩むことはなくなりました。頭の中にある形をひたすら書き込んでいく感じです。
今の心配は「fusion360がある日突然有償になること」ですかね(笑 そんなことにならないことを願っております。

さて、これをばらしてdxfをエクスポートします。


書き出したdxfは一旦jwcadに読み込んで重複線の除去やNCVCにかけるためのCAMレイヤーの定義などを行います。


NCVCに渡してGコードを作ります。


切ってるところを動画で。こちらは5mm厚のアクリル板なのでスピードは遅め。


組み立てていきます。以前作ったプロトタイプを分解して部品を流用することにします。


開始。


ステッピングモータつけて。


レールつけて、


キャリッジを切り出します。こっちは2mm厚のアクリルなのでさくさく切れます。


動画で。


取り出し。


M3用の穴とスロットを抜いた時の屑材。非常にきれいに切れております。先日調整をした結果がいい感じに保たれている模様。


キャリッジを組んでいきます。


作業時点ではまだU溝ベアリングしか届いていませんでしたのでそれで作業します。この日の夜にV溝ベアリング100個(笑)が届きました。


回転部分に干渉が内容に適宜ワッシャを入れて締めていきます。


こんなイメージで。


レールに組み付けてスロット部分で締りを調整します。


板からベアリングまでの距離が極小ですので全体が薄く仕上がり、ベアリング保持のオーバーハングもほとんど無いという理想的な状態になっていると感じます。
DINレールスライダーは実に合理的な構造です。


問題はその滑りと方ですが...


ベアリングの取り付け軸方向、つまりキャリッジ板の鉛直方向にゆするとU溝ベアリングが脱線する方向に引っ張られ、若干のガタが感じられます。ここはやはりV溝の方がよさそうであります。
動画で動きをどうぞ。いまいち伝わらないかもしれませんが、実にスムースです。


想定通りベルトもキャリッジの下をくぐります。欲を言えばもう少しクリアランスがあった方がいいのかなとも思われます。これはベルトを張ってから様子を見ましょう。


来週末はV溝ベアリングで組み立て直し、実際にベルトを張ってモータでスライドさせてみましょう。
DINレールの500mmのものをAliExpressで発注しておりますが、来週中にはまだ届かないと思われます。エジソンプラザのタック電子で買うか、たまには秋葉に出てもいいですね。天気を見ながら考えることにします。